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「本番5分前ですが、進行を変えたいです」社内イベントの現場で何を判断するのか

きっと、このブログを読んでくださっている方は、社内イベントの担当者もしくは経験者の方が多いのではないでしょうか。その皆さんの共通の「あるある」とも言える「本番直前の変更!」これほど肝が冷えることはないのではないでしょうか。

リハーサルも終わり、あとは本番を待つのみという状態で変更!本来はないはずなのに起こるのがイベントとも言えます。やっぱりいろんな人が関係していて、色々な思いや意思があるのでギリギリまで調整が入る気持ちもわかります。

では、本来ないほうが嬉しい「変更」ですが、でもやはり起こりうるものでもあるのでその時に何を考えるか?のポイントとできることを考えてみましょう。

突然、現場であった直前変更!

ある企業様の話です。リハーサルもしっかり行い、あとは本番を待つだけですね!っという感じでみんなで最終の確認や調整をしていました。その時、担当者の女性が慌てて駆けつけてきました!

「すみません・・・。MVPの方が急遽欠席みたいで・・」ということでした。今回の企画ではMVPの発表はサプライズ表彰、特別な映像もご用意していました。しっかり演出し称えたいという思いを実現すべく準備万端でした。

しかし、ご欠席。

ここで、どうしましょうか?の作戦会議が急遽開かれました。本番直前5分前なので立ち話ですが・・。

いくつか選択肢がありました。

①司会者から欠席の案内を入れる。動画は流す

②代理の方に登壇いただく(上司など)

③オンラインでつなぐ、もしくは電話でつなぐ。

この3つに絞り考えました。僕らの回答としては、③を選択しました。せっかくの表彰式ですし、何としてもサプライズを成功させたいという思いもありましたので、急遽システムを変更し対応しました。

オペレーションとしては、

・受賞者の発表を電話で行う(電話がかかった人が受賞者です!の進行に変更)

・受賞者が電話に出たらZOOMにアクセスしてもらう。(アクセスに時間がかかるかもしれないので、その間に映像を流す)

・受賞者からオンラインでコメントをもらう

・チャットでお祝いメッセージを届ける

です。この対応策を5分の間で決め、実行まで調整しました。実際は本番が始まっていましたので本番進行をしながら、裏側でシステムの変更と対応を行っていました。大変なシーンでしたが、みんなで何とかしよう!という気持ちはオペレーター側も一体感のある空気がありました。

突然の変更の時の心がまえ

では、突然の変更が起こるときの心がまえに関して、私の考え方をお伝えできればと思います。イベント会社によって考え方は違うと思いますので、あくまでも私たちGROWS/もしくは島田本人の見解です(笑)

僕の基本的な心構えとしては、一番良い方法を考えて最善を尽くす。そしてなにより「できないと言わない」ということです。出来ないというのは、結構簡単です。いろいろなリスクや対応策を考えるより「出来ない」で終わらせてしまうこともできます。ただそれでいいのかなぁと私は思う訳です。

私の社会人生活において、20代を過ごした飲食店での店長などの現場経験はとても今生きています。お客様のリクエストに応え、出来ることをやって差し上げる。この精神を徹底しているお店でした。もう染みつくほどこの考え方や思想みたいなものが植え付けられています。こびり付いて取れないくらい価値観を作られているように思います。

つまりそんな若いころの経験から僕の判断軸は生まれています。

イベント会社さんによっては、結構NGを出してくるところも多いと聞きます。それでいいのかなぁと思いますし、もっとできることがあるように思います。

ということで、心構えとしては「最善を尽くせば何とかなる」です。当日のスタッフに協力してもらって最善の策を考えれば、ほとんどのことは何となりますし、出来ることも多いです。僕はこういったときによく考えます。

まずできることを考えます。出来るオペレーションを決め、各担当に思いと対応策を指示します。この時に大切なことは、オペレーションをしっかり構築できることです。

飲食店では、料理ができない人は本当の接客はできないと。この料理にはどのような食材がどのように調理されていて、どう食べたらおいしいのか?レシピを知らないと語れないわけです。それと一緒でイベントの実務をわかっていないと、緊急事態のオペレーションを構築できないわけです。

このあたりは、しっかり現場をわかっているディレクターと直接会話をしていかないといけませんね!

直前変更で最初に考えるのは、「できるか・できないか」ではない

本番直前に変更が入った時、まず考えるべきことは「できます」「できません」の二択ではないと思っています。

先ほどのMVP表彰の件でもそうでしたが、重要なのは「この変更を入れた時に、どこに影響が出るのか」を短時間で整理することです。

例えば登壇者を一人追加するだけでも、司会台本は変わります。登壇位置も変わるかもしれません。マイクが一本必要になるかもしれませんし、照明の当て方やカメラの画角も変わります。

映像を一本追加するのであれば、再生データの確認、音声の確認、映像オペレーターへのキュー、司会者のコメント、ステージ上の立ち位置まで見直す必要があります。

現場を知らないと、「それくらいならすぐできますよね」と見えてしまうことがあります。

実際には、一つの変更の後ろにいくつものオペレーションがぶら下がっています。

だからこそ私は、直前変更が入った時ほど、まず変更内容そのものより、その変更によって影響を受ける人と機材を頭の中で整理するようにしています。

その上で、今のスタッフ体制と残された時間で、どこまでなら安全に実現できるのかを判断します。

無理をしてでもやる、という話ではありません。

できる方法を探したうえで、安全面や進行面でどうしても成立しないのであれば、その理由を説明して別の方法を提案する。

ここまでやって初めて、「できない」という判断になるのだと思っています。

直前変更に強い現場は、スタッフ同士の距離が近い

今回のような対応ができたのも、決して私一人が判断したからではありません。

音響、映像、照明、配信、司会、舞台進行など、それぞれの担当者がすぐに状況を理解して動いてくれたから成立しました。

イベントの現場は、それぞれのスタッフが専門領域を持っています。

映像のことは映像オペレーターが一番分かっていますし、音響のことは音響スタッフが一番分かっています。ステージ上の動きについては、舞台監督や進行ディレクターが一番詳しい。

緊急時に大事なのは、誰か一人が全部を決めることではなく、それぞれの専門家に短時間で相談できる状態を作っておくことです。

普段からスタッフ同士で会話ができている現場は、こういう時に強いです。

反対に、担当ごとに完全に分断されていて、「それは自分の担当ではありません」という空気になってしまうと、急な変更への対応は難しくなります。

イベントは一人では作れません。

これは当たり前のことなのですが、本番直前のトラブルや変更が起きた時ほど、このことを強く感じます。

普段はそれぞれの担当者が自分の仕事をしていますが、何か起きた瞬間には全員が同じ方向を向く。

私は、そういうチームで現場を作ることを大切にしています。

とはいえ、何でも変更していいわけではない

ここまで「できる方法を考える」と書いてきましたが、誤解してほしくないのは、直前変更を推奨しているわけではありません。

できることなら、変更は早い方がいいです。

特にイベントの場合、直前の変更は目に見えないリスクを増やします。

台本には反映したけれど、音響スタッフには伝わっていなかった。司会者には伝えたけれど、映像オペレーターには伝わっていなかった。

こうした情報共有の抜けが起こりやすくなります。

本番前は、すべてのスタッフがそれぞれ最後の確認をしています。

その中で一つ変更が入ると、関係する部分をもう一度確認し直さなければなりません。

変更内容が大きければ、それまでリハーサルで確認してきた意味が薄れてしまうケースもあります。

なので、直前でも何とかなるから大丈夫、という考え方は少し違います。

本来は事前にできるだけ決めておく。

それでも事情があって変更が必要になった場合に、どう対応するか。

この順番です。

直前変更に対応できる現場を作っておくことと、直前変更を当たり前にすることはまったく別の話です。

変更に強いイベントは、準備が雑なイベントではない

少し矛盾しているようですが、当日の変更に強いイベントほど、事前準備をしっかりしています。

何かを変更した時に「どこを変えればいいか」が分かります。

逆に、もともとの進行が曖昧な状態で変更が入ると、どこまで影響するのか判断することができません。

イベントのマニュアルや進行台本というのは、本番を台本通りに動かすためだけに作っているわけではないと私は思っています。

むしろ、何か予定外のことが起きた時に、基準となるものを持っておくためでもあります。

基準があるから、そこから何を変えたのかが分かる。

この考え方は、特に社内イベントのように、役員、社員、外部ゲスト、会場スタッフ、イベントスタッフなど多くの人が関わる現場では重要です。

本番直前に求められるのは「判断する力」

イベント制作の仕事を長くやっていると、企画力や演出力と同じくらい、現場での判断力が重要だと感じるようになりました。

事前にどれだけ準備しても、本番当日には何かが起きます。

出演者が遅れることもあれば、映像が急遽変更になることもあります。今回のように、受賞者本人が来られなくなることもあります。

その時、現場で求められるのは「正解を知っていること」ではありません。

そもそも、イベント現場のトラブルには教科書に載っているような正解がないことの方が多いです。

今回のMVP表彰で言えば、私たちが優先したのは「受賞者本人に、この瞬間を届ける」ということでした。

だから代理受賞ではなく、何とか本人とつなぐ方法を選びました。

もしイベントの目的や状況が違えば、別の判断をしていたと思います。

大切なのは、変更に対応するテクニックよりも、「今回のイベントで何を守るのか」を現場で共有しておくことなのかもしれません。

最後に

本番5分前の変更は、できればない方がいいです(笑)

これは間違いありません。

ただ、イベントという仕事をしている以上、予定通りにいかないことは必ずあります。

そんな時に私が大事にしているのは、まず「できない」と言うのではなく、一度できる方法を考えてみることです。

そして、その方法を実現するために何が必要で、どんなリスクがあり、現場としてどこまで対応できるのかを整理する。

その結果として、もっと良い方法が見つかることもあります。

今回のMVP表彰も、当初予定していた演出とはまったく違う形になりました。

でも、電話を使って受賞発表をし、その後オンラインで本人と会場をつなぐという演出は、結果的にはその場でしか生まれない特別な時間になりました。

もちろん、毎回そんなにきれいに着地するわけではありません。

うまくいかなかったこともありますし、今振り返れば別の判断をした方が良かったと思う現場もあります。

それでも、想定外の出来事に対して現場のみんなで知恵を出し合い、一番良い方法を探していく。

私は、イベント制作という仕事の面白さは、こういうところにもあると思っています。

本番直前に何かが起きた時、そこでイベント会社の本当の力が出るのかもしれません。

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このコラムを書いた人

株式会社GROWS 島田忍

株式会社GROWS 島田忍

株式会社GROWS代表。企業の周年イベントや社内表彰式、キックオフ、内定式など、インナーブランディングを軸としたイベントプロデュースを多数手がける。単なる「盛り上がり」で終わらせず、組織の想いをカタチにし、人と人をつなぐ企画づくりを信条に、現場第一でプロデュースを行っています。

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